高校時代に大学の生物の参考書を読み漁るほど、無類の生物ヲタク。
大学院でバイオの道を突き詰めてきた彼は、なぜCBCの門を叩いたのか。
知の地平線、その最前線へ。
キナーゼってご存知ですか。簡単に説明すると、ヒトの細胞間で行われる信号や物質を制御している酵素のことです。私は大学院で、このキナーゼという物質について研究していました。実はこの研究、一般的に基礎研究と呼ばれるもので、まだ何の役に立つかわからない研究と言われています。すぐに技術に応用できなくても、科学でわかる範囲を確実に広げていく。基礎研究は積み上げた知識の山に登り、今まで知り得なかった知の地平線の先を広げる活動だと思っています。
小学校は6年間いきもの係で、高校生の頃は大学の生物学の教科書を読み漁るような無類の生物ヲタクでした。そんな私が商社を志したのは、一言で言えばバイオの地平線の先に自分で行きたくなったからです。子供の頃からずっと好きだったライフサイエンスの分野で新しいビジネスを創ってみたい。バイオの力を未開拓の領域に届けたい。基礎研究とは違った、より応用的な知識の活かし方。それができるのは人と人を繋ぎ、領域や国を超えてビジネスを生み出す商社しかないと思いました。中でも医薬の領域で強みを持っているCBCであれば、必ず自分がやりたいことができる。そう思いCBCに入社を決めました。
基礎研究の山を越え、知の地平線の最前線へ。期待に胸躍らせながら入社しましたが、その道のりは思いの外険しいものでした。
悔しさをバネに。
自分にはバイオの知識があり、少しは英語も話せる。しかし、それだけでうまくいくほど商社の仕事は甘くはありません。そんなビジネスの厳しさを痛感したのは、入社して2年目の冬のことでした。
担当したのは、日系企業と海外企業をつないで受託製造を請け負うプロジェクト。一般的なトレーディングとは違い、受託製造は製造先に正確に指示を出さなければならないため、製造工程や製品の特性まで詳細に理解する必要があります。更には、専門用語を交えた英語でのコミュニケーションも加わり、初めての出来事の連続に、毎日食らいつくことに必死でした。そこで助け舟を出してくれたのが、お客様である製造元の担当者様でした。
社交的で英語も流暢な上に、議事録などの業務スピードも一級品。本来、間に立って付加価値を出さなければならない自分が、逆にお客様に助けられてしまい…。おかげでなんとかプロジェクトは完遂したものの、無力感と情けなさでいっぱいになりました。
思い返せば、あの時の悔しさがあったからこそ、私は成長することができたと感じます。新しいビジネスを創る。口では言えても、それは簡単なことではありません。新しいビジネスには必ず新しいチャレンジがある。その一つひとつに果敢に踏み込み、地平線を広げていくことこそが商社の役割です。自ら飛び込んだビジネスの最前線。その醍醐味をもっと味わい尽くしたいと思います。