世界で活躍する
CBC 社員
アメリカ
5年のシンガポール駐在に続き、16年にわたりアメリカという巨大市場で活躍する藤田 剛。現在はCBC AMERICA LLCのCOO(最高執行責任者)及び米子会社のPresidentも務める。防犯機器・光学関連業界のビジネスに打ち込んできた彼はいま、アメリカを舞台に事業のさらなるアップグレードを推進中。21年の経験に裏打ちされた海外ビジネスの醍醐味、そしてCBCならではの魅力を語る。
平等の精神
「このプランAの方がいいでしょう」「いや、割に合わない、絶対プランBだ」「そんなことはない!!」「Tonyはどう思う?」会議や打ち合わせでは、ファーストネームやニックネームで呼び合いながらこんなやり取りが日常茶飯事です。アメリカ人といっても色々な出自や人種があります。共通するのは、全員が自分の考えや思いを持ち、それを主張してくることです。日本の予定稿の会議とは全く違います。私も自分の考えを持って臨まなければなりません。人は平等、ビジネスの世界でもこの理念が尊重されるのがアメリカです。
最大の市場で
自社ブランド製品を展開
アメリカは、単一のマーケットとして世界最大。中国や欧州もありますが、国境のない自由な国でこれだけ大きいのはアメリカだけです。少子高齢化の進む日本と異なり、毎年世界から柔軟に移民を受け入れ、優秀な人材も増やしている。GAFAMやテスラ等新興企業の経営陣は移民やその子孫が多いし、シリコンバレーでは中国語やヒンズー語訛の英語がよく聞かれます。まさに “人種のサラダボウル” ですね。そんな多様で巨大な市場でビジネスが決まった時のスケール感は、桁違いです。
私が担当している商材は多岐に渡りますが、旗艦製品は、防犯カメラやFactory Automation(自動化装置)などに用いられる光学レンズです。CBCが長年Computarのブランド名で自社製造・販売しており、海外駐在する我々が本社の出先販社としてメーカー営業を担っています。昨今は工場の自動化や交通制御、ロボット向けなど様々な用途で需要が急増しており注目商品です。アメリカはその主要市場の一つであり、防犯関連では、米国政府の大型庁舎ビル、空港、大型商業施設や有名チェーン店などに幅広く弊社製品が導入されています。
欧州帰りの
上司の指導を刺激に
海外の大学で経営学を専攻。商社を進路に定めたのは、日本で海外に最も強い業界と考えたからです。入社から5年間は、日本国内でCCDカメラや周辺機器の輸出業務と海外営業のサポート、一部国内営業などを担当。当時の私にビジネスの基礎を徹底的に教えてくれたのは、フランス駐在から帰任された当時の上司です。その人の下で必死に働きながら、高い熱量を持って仕事に取り組む海外駐在員の方々の姿勢に日々強い刺激を受けました。「海外で絶対仕事がしたい」そうした強いマインドやモチベーションが先輩から後輩へ受け継がれるのは、当社の素晴らしい企業文化といえるではないでしょうか。
5年ほど国内での業務を経験した後、1999年春シンガポール店駐在の辞令を受けました。立ち上がって間もないアセアンの海外支店で、光学レンズやビデオシステム機器販売の新たな事業展開と拡大が私の担当でした。初の海外での営業活動でしたが、当時の上司からの厳しくも暖かい指導と叱咤激励を日々頂きながら脇目も振らずに走った3年間、そして2年間のプレーイングマネージャー経験が海外で長く仕事をする上での全ての礎となっています。担当エリアは、東南アジア各国から果てはインドまで、当時現地店の無かったインドでは現地新聞のClassified広告を通してスタッフの募集をかけたところ膨大な数の応募が殺到、北部・南部の大都市のホテルで朝からぶっ通しで面接を行ったこともありました。次の日倒れるほど大変でしたが、この年齢でローカルの採用活動から携わることができたのは、自分のキャリアに大きなプラスとなりました。それも会社が失敗を恐れず、アグレッシブに挑戦できる環境を整えてくれたからこそです。
先輩方が築いた
ビジネスモデルを進化させる
アメリカで諸先輩方が苦労して築いた製品のディストリビューションビジネスモデル。それを次の時代に移行させたい、というのが私のテーマです。キーワードは、ソフトウェア。具体的には、長年SECURITY分野で培った経験と知見を活かし、シームレスなネットワーク環境で物理的在庫のいらない近未来型ディストリビューションビジネスモデルの構築を目指しています。2014年に投資したソフトウェア会社との戦略的コラボにより、少しずつ芽が出始めるようになりました。
最初はスタートアップだったGAFAMがここまで成長したのも、ソフトウェアの力。20世紀が石油の時代としたら、21世紀は「枯渇しない現代の石油」とも言われるデータの時代です。川上から川下まで全て押さえるビジネスもありますが、当社のような創造型商社が多様性を重んじる米国で活躍する上で、ソフトウェアやAIをベースとしたIoTデバイスなどをビジネスの触媒として展開するビジネスモデルが合っているのではないか、そんな思いでアメリカで日々現地の優秀なスタッフ陣と共に現地目線でイノベーションへのチャレンジを続けています。また、米中貿易摩擦の悪化とサプライチェーンマネジメントへの不安から国内生産への回帰が叫ばれる中、地産地消を念頭に南部で開発・設計機能を持った金属加工の小さな工場もスタートさせています。規模感や内容こそ違いますが、いずれ「下町ロケット」の佃製作所の様な会社愛溢れるカンパニーになって欲しい、そう思っています。