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情報化社会を成す「機械の目」 レンズに注がれるCBCオプトテクノロジーズの技術力

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情報化社会を成す「機械の目」 レンズに注がれるCBCオプトテクノロジーズの技術力
目次

    CBC株式会社「インダストリアルオプティクスディビジョン」 の技術開発部門、品質保証部門、調達・製造管理部門と、CBCの子会社である「コーヤル光学株式会社」が統合され、2024年4月、新たに「CBCオプトテクノロジーズ株式会社」が誕生しました。レンズ業界のトップシェアを誇る光学機器ブランド「Computar」の開発・製造を手掛ける 同社の強みや取り組み、今後の展望について伺いました。

    情報化社会のAI画像処理を支える「レンズ」

    COT_201 巨大な物流倉庫における商品管理やロボットの運用、高速道路の交通管理などにおいて、業務効率化のためAIによる画像解析が用いられる場面が増えています。
    機器に搭載されたカメラで得た画像を解析システムにかけ、商品バーコード の情報や車のナンバープレートを読み取るのがその主な仕組みですが、適切な画像処理を行うためには、まずは「鮮明な画像データ」の取得が欠かせません。そういった処理に適した画像取得のため、大きな役割を果たすのがカメラに搭載されている産業用のレンズなのです。

    CBCオプトテクノロジーズは、産業機器や監視用途など、幅広い用途のレンズの企画開発を手掛けています。取り扱うレンズは解像度や画角、サイズまで様々。約300種類のレンズを標準品として販売しているだけでなく、時にはカスタマイズを行い、お客様それぞれの目的や用途にあわせて提供しています。

    同社によるレンズの用途は、主に「マシンビジョン」と「セキュリティ」の2つ。「マシンビジョンレンズ」とは、レンズのなかでも主に機械やロボットに組み込まれ、システムの一部として利用されるもの。工場で使用される検査機器や物流倉庫、特定の目的のために動くロボットなどでも使用されています。
    20250108_161602 そしてオフィスや店舗の監視など、防犯用途で使われるのが「セキュリティレンズ」。近年では、インフラ設備の点検や防災はもちろん、家族の見守りなどでも用いられるようになっており、レンズに求められる機能も増えているのだとか。
    その2種類に加えて導入が増えているのが、高速道路など車道の周辺に設置して、ETCレーン上の自動車を監視したり、ナンバープレートの検知をしたりするITS(Intelligent Transport System)用途のもの。渋滞管理や規則違反の車両検知など、より高度な交通管理にあたってもレンズが用いられています。
    他にも、近年トレンドとなっている製品では、測量や建築物の保守点検を行うドローンに内蔵するもの、農作物の生育管理をするもの、選手の分析やビデオ判定時に利用するスポーツテック用のレンズ、などなど……。
    幅広い用途・目的のもとで、同社によるレンズが使用されているのです。
    COT_186 産業用途で用いられるレンズの主な役割は、機械やシステムが外の世界にふれる場所、つまり「機械の目」として機能することです。
    いくら高機能なアプリケーション、高性能な画像解析システムを用いていても、取得した画像データが暗い・不鮮明なものであれば、それらを十分に活かすことはできません。画像解析を用いた巨大なシステム群は、そもそもの「明瞭な画像・映像を取得する技術」があってこそのものなのです。
    システムを安定して運用するためには、コンディションが整わない環境下でも、一定以上の鮮明な画像を取得できることが必須条件。情報システムの高機能化にあわせて、機械の目であるレンズが担う役割も大きなものになっているといえるでしょう。

    社内3部門による協業 で、製品を磨き上げる

    CBCオプトテクノロジーズでは、「設計開発」「調達製造管理」「品質保証」の3グループによって、レンズの企画設計から製造が行われています。
    プロジェクト最初期、営業活動時からお客様とのコミュニケーションに参加し、目的や用途にあわせたレンズの設計を行うのが「設計開発グループ」。グループ内には「機構設計」や「電気設計」を専門とする技術者など、レンズ=光学設計に留まらない専門性・得意分野を持つ社員が所属しています。

    COT_079 「品質保証グループ」は 、出荷された製品が常にお客様の期待を満たせるよう監視するだけでなく、不良品の出荷予防など、製品の品質を維持する「品質管理」の業務も行っています。 完成したレンズの検査はもちろん、設計や生産準備段階から製品に関わり、「この製品は、大量生産が可能なのか」「大量生産しても、品質が保証できるか」など、独自の専門性を持って品質向上に努めます。
    そして、設計したレンズの部品の調達や、製造ラインの管理などを行うのが「調達製造管理グループ」。SCM(サプライチェーンマネジメント)グループとも呼ばれており、自社工場はもちろん協力会社の工場管理や、大量生産可能であるかの事前調査もその役割です。製品に対して最適な生産体制を構築するだけでなく、海外企業とのやり取りも行うため、場合によっては地政学的な状況も見据えた判断が必要になることも。

    他にも、各部門による設計レビューといった「社員全員で、製品の完成度を高めていく」プロセスを経て、同社の製品は世に送り出されます。社員それぞれが持つ技術やノウハウ、そして会社に蓄積されている知見をすべて注ぐことで、より洗練された製品が生み出されているのです。

    技術営業によって、役割と提案の幅が広がった

    CBCオプトテクノロジーズが現在の姿になったのは、2024年4月のこと。CBCの子会社であったコーヤル光学株式会社と、CBCのインダストリアルオプティクスディビジョンの一部部門、具体的には技術開発部門、品質保証部門、調達・製造管理部門を統合・再編することで生まれました。
    その結果CBCオプトテクノロジーズは、レンズの企画設計や品質保証、調達の機能を有する会社に。同社が手掛けた製品の営業活動は、CBCのインダストリアルオプティクスディビジョン「営業/企画マーケティンググループ」 が中心となって行っています。

    しかし営業機能を本社に移してもなお、CBCオプトテクノロジーズとして、営業のプロセスには形を変えて関わり続けているそう。同社が現在力を入れているのが、お客様との打ち合わせに技術者が同行する、「技術営業」の活動です。
    営業活動に技術者が関わることで、営業担当の社員とは異なる「知見をもとにした提案」が打ち合わせの場で行えるようになります。営業の社員と技術者とでは、それぞれの専門性はもちろん、着眼点も大きく異なるもの。技術者ならではのニーズの深堀りによって思わぬアイデアが生まれ、それがきっかけとなって形となるプロジェクトも少なくありません。
    そして、技術営業のもうひとつのメリットが、レンズの設計から納品のプロセスにおけるかなり初期段階から、技術者がプロジェクトに関与できることなのだとか。

    CBC_108 営業活動と設計の完全分業は、それぞれが自らの専門領域に専念して仕事ができるようになるのが大きな強みです。一方で、分業した結果「営業の仕事は、新しい案件を獲得すること」「技術者の仕事は、発注を受けて製品を作ること」と、それぞれの担当者が特定のプロジェクトに「より深く関与する」機会を奪ってしまう場合も少なくありません。

    しかし、技術営業の活動によって「仕事が生まれる」瞬間にも、技術者が関与できるように。より大きな裁量を持ってプロジェクトに関わる機会が生まれ、同社技術者も、より主体的に設計・開発に携われるようになっています。

    「オプト」と「テクノロジー」を、それぞれ伸ばしていきたい

    CBC_165 そんなCBCオプトテクノロジーズの仕事の大きな魅力は、同社の斎藤社長 いわく「営業から設計、製品がお客様の手元に届くまで、ひと通りのプロセスに関われること」なのだとか。
    同社は、社員が30名以下の少数精鋭体制。特定の領域に対して専門性を持つ技術者であっても「設計だけ」など、特定の役割に専念することはありません。営業活動から企画設計、生産、そして「製品がどのように使われるか」まで、会社を通して製品に関わることになります。

    本来であれば「設計」や「販売」はそれぞれに専門の担当者が割り当てられる場合が多いなか、ひとつプロジェクトにスタートからゴールまで携わる経験は「CBCオプトテクノロジーズならではのものだと思う」 (斎藤社長)とのこと。プロジェクト次第では海外企業とやり取りする機会も多く、製品を通して海外と接点を持つチャンスが豊富にあります。

    CBCオプトテクノロジーズの今後の目標について、斎藤社長は「これまで手掛けてきた製品はもちろんのこと、今後は他社にはないユニークな製品を生み出すことにも力を入れていきたい」と語ります。
    例えば、同社が手掛けるComputar製品の「ViSWIR Hyper APO」シリーズは、「目で見えない波長領域まで、光を捉えられる」という特徴を持つレンズです。モノや素材によって光の透過性が違うことを利用し、対象物に触れることなく素材を識別・分析できるもので、リモートセンシングに活用できるレンズとして大きな注目を集めています。
    また最近では、イメージセンサーメーカーや画像処理チップメーカーと協力し、AI時代における「画像検査の理想像」を追求する取り組みも。お客様と課題を共有しながら、協業によって新たな価値を生み出せるケースも増えており、会社全体で「レンズ開発の新たなステージ」到来を感じています。

    今後は同社の基本技術である「光学(=オプト)」を土台とし、それに「技術(=テクノロジー)」を組み合わせた新しい製品をさらに生み出していくこと。その製品をもって、新しい市場をさらに開拓していくことが目標です。
    CBCオプトテクノロジーズの斎藤社長いわく、2024年4月の新会社発足後の大きな変化は「ひとつのオフィスに社員が集まることで、会社に活気が生まれた」ことなのだとか。光学設計や機構設計の技術者はもちろん、製造管理や品質管理を専門とする社員など、それぞれのスペシャリストがオフィスで互いに強く関わり合うことで、これまでには見えなかった新しい景色が見えるようになるはずです。

    CBCオプトテクノロジーズはCBCグループの一員として、自らの技術とエネルギーを、国内はもちろん、世界各地へ届けていきます。

    CBCオプトテクノロジーズHP:CBC OPTO-TECHNOLOGIES

    文=伊藤 駿/編集=ノオト

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