若返りのスイッチを入れるオリーブの恵み若返りホルモンと呼ばれる「オステオカルシン」の分泌活性効果が
臨床実験で認められたオリーブ葉由来の機能性食品素材です。

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オステオカルシンの研究

平田雅人先生(福岡歯科大学客員教授・九州大学名誉教授)にきく

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オステオカルシン研究に至ったいきさつ

私は、大学院在学中から一貫して細胞シグナリング研究に従事してきました。「細胞シグナリング研究」というのは、細胞が神経伝達物質やホルモンなどの情報(シグナル)を受け取り、その情報に基づきどのような連携プレーをしているかについて研究することです。その中で、PRIPと名付けた新しい細胞シグナリング分子を発見し、長年にわたってPRIPの働きを解明する研究を行なっていました。
たまたま、2012年に松本歯科大学で、「PRIPの発見から機能の解明に関する研究」についてセミナーをする機会があり、終了後、松本歯科大学の友人から「PRIPはオステオカルシンに絡んでいるかもしれない」という指摘とともに、「オステオカルシンがインスリンの分泌を促す」とのカーセンティ教授(米コロンビア大学)の論文のコピーをいただきました。大学に帰り、直ちにオステオカルシン研究に着手したのは言うまでもありません。

わが国では「骨の基礎的研究」は主に歯学おいて行われてきました。「医学ではなくて歯学!?」と意外に思われるかもしれません。医学でも骨研究を行いますが、これらは臨床と直結した研究が盛んで、基礎的な研究は盛んではありません。歯学部の中でも、とりわけ昭和大学や松本歯科大学からは、世界的にも重要な発見がなされてきました。

オステオカルシン研究の歴史

オステオカルシンが学会誌上に初めて報告されたのが1978年であり、1996年には上述したカーセンティ教授がオステオカルシンを持たない遺伝子改変マウスを作成して、骨の形成状態を観察したところ、形成不全ではなく、形成亢進したことが報告されました。その後の紆余曲折を経ること約20年、カーセンティ教授は、そのマウスの内臓脂肪が異様に多いということに気付き、改めて糖・脂質代謝の観点から解析した結果、「骨は内分泌器官」、すなわちオステオカルシンの「インスリン分泌亢進作用」というパラダイムシフトの論文を発表したのは2007年でした。
以降は、世界中からオステオカルシンの作用や受容体に関する報告が世界中から発表される様になりました。

研究中のエピソード

その後の研究は、オステオカルシンに集中することになりました。糖尿病内科の友人からインクレチン(小腸細胞が分泌するホルモンで、膵臓からのインスリンの分泌を強力に促す)についての多彩な代謝的有効性に基づいて、オステオカルシンはインクレチンの分泌を促すのではないかとの観点から、「オステオカルシン→インクレチン→インスリン」という新たな道筋を提唱しています。

オステオカルシンが脂肪細胞に作用して、インスリン感受性を高める善玉のアディポネクチンを分泌するメカニズムを解明しました。低濃度のオステオカルシンを投与すると、アディポネクチンが分泌され、また中性脂肪を分解する酵素の量が増加して脂肪細胞内の中性脂肪(脂肪滴)を分解し、脂肪細胞を小型化します。一方、高濃度(3〜5倍以上)のオステオカルシンを投与すると、隣接する大型の脂肪細胞が細胞死に導かれ、その割合は脂肪細胞全体の30%程度に生じましたが、残った脂肪細胞では中性脂肪が分解され、小型化し、アディポネクチンを分泌し続けます。これもとても良いことです。

  • 内臓脂肪の顕微鏡写真
    対照 オステオカルシン
    (低濃度)

    マウスにオステオカルシンを投与すると、数週間後には内臓脂肪の脂肪が小さくなる

  • 脂肪細胞の位相差顕微鏡写真
    0 48時間後
    対照
    オステオカルシン
    (低濃度)
    オステオカルシン
    (高濃度)

    オステオカルシンの添加によって細胞内の脂肪滴が小さくなり、高濃度では細胞膜が破壊されているのが分かる

オステオカルシン研究が将来につなげてゆくもの

これまでのオステオカルシン研究による発見・気付きは、今後も健康長寿延伸のための様々な研究の成果が生まれるでしょう。
マウスなどの小動物で観られただけの事象もありますが、哺乳動物で観察された事象は人にも当てはまると考えられています。このことを前提として、オステオカルシンには

  • (i)メタボ状態の改善効果
  • (ii)認知・記憶機能の亢進
  • (iii)活力・やる気を生み出す
  • (iv)活性酸素の消去作用から体全体の酸化の軽減化の期待
  • (v)一酸化窒素(NO)の産生によって心脈管系への負担軽減
  • (vi)加齢時の筋力の衰えを防ぐ

などの効果が期待されており、これらは全て、健康寿命の延伸に有効な事柄です。

また、「生活習慣病胎児期起源説」という考え方があります。胎児期の母親の食を中心とする生活習慣が、生まれてくる子供が成人した後のメタボのなり易さを規定するという考え方です。すなわち母体が妊娠中に生活習慣病になり易い食生活をしていると、成人した子供が(子供には何の責任もありませんが)メタボになり易いという事です。人でも多くの疫学的な研究があります。
私の共同研究者がオステオカルシンによってこの回避が起こる事を発見しました。すなわち、悪い食生活をしている妊娠母体にオステオカルシンを投与すると、成人した子のメタボのなり易さが軽減されたという発見です。このメカニズムについては、最近になってやっと分かってきました。未発表なので今は詳しくは書けませんが、このメカニズムに関連して母体のオステオカルシンが様々な局面で大切な働きをしていることを明らかにしています。「オステオカルシンの機能の広がり」として今後の研究の進展が楽しみです。

略歴

平田 雅人 (ひらた まさと)

生年月日:

昭和27年3月16日

所属:

福岡歯科大学・口腔歯学部

職種:

客員教授

学歴:

昭和51年(1976)3月27日

九州大学歯学部卒業

昭和51年(1976)4月1日

九州大学大学院歯学研究科入学

昭和55年(1980)3月27日

同上 修了
(大学院在学中、東京大学医学部薬理学教室で3年間過ごす)

免許:

昭和51年(1976)5月28日

歯科医師国家試験合格
歯科医籍登録(第68718号)

学位:

昭和55年(1980)3月27日

歯学博士(九州大学)

職歴:

昭和55年(1980)4月1日

九州大学医学部助手
(臨床薬理学講座)

昭和56年(1981)3月16日

九州大学歯学部助手
(生化学講座)

昭和59年(1984)1月1日

同上 講師

昭和63年(1988)4月1日

同上 助教授
(この間、1987.4〜1988.9 米国スタンフォード大学医学部に留学)

平成8年(1996)8月16日

同上 教授

平成12年(2000)4月1日

九州大学大学院歯学研究院教授
(機構改革による名称変更)

平成21年(2009)5月

主幹教授

平成27年(2015)4月1日

九州大学大学院歯学研究院長
歯学府長
歯学部長

平成29年(2017)3月31日

定年退職(名誉教授)

平成29年(2017)4月1日

福岡歯科大学客員教授

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