Home > CBCの人々 > ライフ プロダクツ ディビジョン 國富 玄泰

CBCの人々

情熱×発掘力言葉と足でニーズを掘り当てる。

project story 08 ライフ プロダクツ ディビジョン 國富 玄泰 Motoyasu Kunitomi
project story 08 ライフ プロダクツ ディビジョン 國富 玄泰 Motoyasu Kunitomi

「フェロモン」を売りにカザフスタンへ

「次の売り先はカザフスタンだ」
ライフ プロダクツ ディビジョンの農薬を扱う部門の國富にそんな声がかかった。國富が扱っているのは「生物農薬」と呼ばれる新たな種類の農薬。昆虫が発する「性フェロモン」の成分を製剤化して、畑に設置。人工的に合成したメスの虫が発するフェロモンを一帯に充満させることによってオスを惑わせ、オスとメスが出会えなくするというものだ。
「交尾して生まれた幼虫が、果物を食い荒らす害虫となるので、オスがメスに辿り着けなくすることで産卵数を下げ一帯の害虫を減らすことができる。虫を殺すことなく農作物被害を防ぐ 技術として注目されています」
化学成分が食品に残留することもなければ、土壌も汚染しない。ヨーロッパなど環境意識の高い先進国でのニーズが高い技術だ。
そんなヨーロッパ地域を担当する國富に、カザフスタンの話を持ってきたのはミラノ支店の現地スタッフの1人。スイスで行われた展示会でカザフスタンの政府関係機関の担当者が声をかけてきたのだという。
「現地の植物防疫研究所の担当者で、そこは農薬などの販売も手掛けている。うまくいけば広い国土全体にフェロモンを販売できます」

現地の畑に入り手応えをつかむ

  • カザフスタンで。メーカーの担当者、現地の有力者、代理店の方と

    カザフスタンで。メーカーの担当者、現地の有力者、代理店の方と

ただ、販売に至るまでには化学農薬とは異なる難しさもある。
「化学農薬は畑に散布したらすぐに虫が減るという目に見える効果が出る。しかし、フェロモンは虫が出る季節の前に設置しておいて、1シーズンかけて効果を確認するもの。しかも、地域によって問題となっている虫も異なり効果のあるフェロモンの種類も異なるので、現地で最低1シーズンはテストをしないといけません」
國富は早速、現地に飛んだ。「出張にはスーツを持って行かないことも多い」という國富の主な荷物は「汚れてもいい靴と服をとにかくたくさん」。実際に畑に足を運び、テストや、その結果を確認するところまで行なう。
カザフスタンの地形を目にした國富の感想は「いけるのではないか」というもの。「フェロモンは広いエリアに使ったほうが、効果が出やすい。現地は1つ1つの畑が広くて、効果が出やすいのではないかと感じた」という。

ニーズを把握し最善の答えを提供する

とはいえ、実際に購入してもらうためには、テストでよい結果を得ることが不可欠。まずは現地でどんな虫に対する需要があるのかを確認し、それに効果があるフェロモンの製剤をメーカーと選定することが必要だ。
「虫1種に対して効果のあるフェロモンは1種。複数の虫がいれば、当然複数必要となりますが、その分価格も高くなるので現地のニーズを正確に把握して、本当に必要なものを見極める必要がある。ただ、その年の天候などによって発生する虫の種類も変わることもありし、フェロモンによって虫が1種類減ると、別の虫が増えてしまうこともある。自然を相手にするものだけに、一筋縄ではいきません」
現地にどんなニーズがあるのかをきちんと把握し、それに対してメーカー側はどんな素材を用意できるのか、そのマッチングを行なうのが商社の役割だ。
メーカー機能を持つCBCには、理系の学部で専門的な知識を学んできた人材も多いが、國富は、農学とも化学とも無縁の学生時代を過ごしてきた。その分、語学と生来のコミュニケーション力には自信がある。面と向かって話せる機会が限られる中でも、相手のニーズを適確に捉え、仕事へ結びつけてきた
カザフスタンでのフェロモン製剤使用は今年が初めて。東京ドーム20個分の農場に設置されており、今のところ農家の方々の反応も良好という。
「フェロモン製剤がきちんと効果を発揮しているかどうか、春から秋にかけて現地の状況を注意深く見ていかなければならず、まだ油断はできません。でもよい結果が出れば、国の補助金対象にもなれるかもしれないので、大きな取り引きになるかもしれません。期待しています」
國富のスーツを持たない出張は、今後ますます増えていきそうだ。

プロフィール

プロフィール
文学部卒。2008年CBC入社。「海外で仕事がしたい」「人の役に立ちたい」との思いから、商社のほかにJICAや赤十字なども受け、最も海外に行ける確率が高そうとCBCに入社を決める。新規ビジネス開拓の部門を経て、5年前より現職。